芸達者・セイウチの出張デート、繁殖の成否は…「神のみぞ知る」

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臼井昭仁
【動画】セイウチの人工繁殖、続く悪戦苦闘
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 「拍手」に「投げキス」、「厄払い」まで披露できる水族館のセイウチは、芸達者で人気者だ。ただ希少動物ゆえ、今や輸入が難しく、将来も活躍してもらうためには国内にいる雄と雌による繁殖が頼みの綱。この時期、各地の水族館へ、「嫁入り」などとニュースで取り上げられるが、2世の誕生は簡単ではないようで……。

 「3、2、1」の合図とともに、セイウチのヒレアシで背中をたたかれた来場客が前へよろめき、歓声が上がった。

 三重県伊勢市の伊勢シーパラダイス。2頭の雌のセイウチによるショーで、呼び物の「闘魂注入で厄払い」だ。

 そのうちの1頭、ヒマワリは今、オリに出入りする訓練を繰り返している。

 2月半ば、愛知県美浜町の南知多ビーチランドへ大型トラックで運ばれるためだ。

 ヒマワリは、南知多にいる雄のキックとペアになる。数少ない動物を増やすため、水族館や動物園が繁殖を目的に貸し借りするブリーディングローン(BL)だ。

輸送は特注のオリ、暴れないよう訓練中

 BL自体は多くの種類で取り組まれているが、セイウチの大変さはその巨体。シーパラにいるヒマワリとタンポポの雌2頭は、ともに体重650キロで体長は3メートル近い。輸送のためのオリは特注で、今回も暴れないよう、出発の2カ月前から出入りする訓練を繰り返している。

 1990年からセイウチの飼育を始めたシーパラには一時、最大5頭の雌と雄がいた。しかし、出産には至らず、2006年に雄が死んでからは雌2頭だけの状態が続く。

 主に北極圏の沿岸に生息するセイウチは、ワシントン条約で国際取引が制限されているうえ、近年は中国などが買い求めることで価格が1頭1億円以上に高騰しているとも言われる。

 日本には、06年2月にロシアから鳥羽水族館(三重県鳥羽市)に雌1頭が入ってきたのが最後だ。

 関係者によると、セイウチの…

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