今年も中学受験のシーズンが終わろうとしています。教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、何かしら不本意な結果に終わる子が多いなかでも、「合否発表の時から始まる、親の新たな役割がある」と話します。朝日新聞デジタルの「コメントプラス」のコメンテーターでもあるおおたさんに、真意を聞きました。
――おおたさんは中学受験の「必勝法」ではなく「必笑法」をうたっています。
中学受験では、第1志望校に合格できる受験生は3割に満たないと言われています。ですので合格という意味での勝ちを目標にしてしまうと、中学受験って、かなり分の悪い戦いになってしまうわけです。
でも、結果だけではなく、「プロセスにおいて何が得られるか」という視点に立つのであれば、変わってきます。
「必ずしも第1志望に合格できなかったとしても最後に笑っていられるとしたら、それはどんな中学受験をした時なんだろうな」というイメージで受験に臨んでほしい。これを僕は「必笑法」と呼んでいます。
単に有名中学校への入学の切符を得るための苦行ではなく、親子の人生にとっての糧を得て、成長する機会として中学受験をとらえてほしいという思いをこめています。
――「理屈はわかるけれども難しい」という親もいると思います。どこを受験するか、どの塾に行くかなど、次々決断を迫られますし、「こうしていればああしていれば」という繰り返しだと思います。どんな心持ちで臨んだらよいのでしょうか。
親心として「常にベストな選択をしなければいけない。それは親の責任だ」と過剰に感じてしまうと、親の思う正解に子どもを押し込めてしまうことにもなります。
中学受験は、「人間的な成長がある」とおおたとしまささんは話します。受験勉強を子どもの将来の糧に結びつけるため、とても大切な親と子の接し方についてうかがいます。記事後半では、おおたさんによる「必笑法」の解説をPodcastでもお聞き頂けます。
ひるがえって、現実世界に正解…