政権の目玉「経済安保法案」制定へ、有識者会議が提言書 罰則も検討

安倍龍太郎
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 岸田政権が目玉政策に掲げる「経済安全保障推進法案」の制定に向けた有識者会議(座長=青木節子・慶応大大学院教授)は1日、提言をとりまとめた。政府は今月中にも法案を国会に出し、成立を目指す。先端技術分野で米中が覇権争いをするなか、経済安保での対応が課題とされる。ただ、法案には事業者への罰則規定も検討されており、経済界には国の関与が強まることへの警戒感も根強くある。

 法案は4本柱で構成する。「サプライチェーン(供給網)の強化」では、経済活動に不可欠な重要物資について工場整備や備蓄などを国が財政支援する。物資には半導体や医薬品、レアアース蓄電池が想定され、国が機動的に指定・解除できるようにする。急な値上がりや供給不足を見越し、政府の調査権限も設ける。

 サイバー攻撃に備えた「基幹インフラの事前審査」も柱だ。エネルギー、水道、情報通信、金融、運輸、郵便の6分野で、重要システムを新たに導入する際、国が懸念のある外国製品が使われていないかを審査。必要に応じて勧告や命令を出せるようにする。

 宇宙人工知能(AI)、量子、バイオなどの先端分野で国際競争力を持つため「先端技術の官民協力」も重視。他国への技術流出の防止を狙い、武器や原子力などの機微技術をめぐる「特許非公開」も盛り込んだ。本来得られるはずだった特許料を国が補償する仕組みだ。これらは「軍民融合」を掲げ、先端技術を兵器開発に結びつける中国を念頭においている。

 法案には罰則規定も盛り込まれる方針で、企業活動への国の関与を強める内容のため、経済界からは制度の「透明性」を求める声があがっている。(安倍龍太郎)

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    峯村健司
    (元・朝日新聞編集委員)
    2022年2月1日21時4分 投稿

    【視点】「経済安全保障推進法」の実現に向けて本格的に動き出しました。これまで日本は周回遅れだった特に軍事技術を巡る「特許非公開」がなかったのは、G20では日本とメキシコだけでした。これまでほぼザル状態といえた中国などへの先端技術の流出に歯止めがかか