お茶ごくり… あ!バナナ 徳島の農園がバナナ茶を販売

杉田基
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 徳島県阿波市のバナナ農園が、全国的にも珍しいバナナの葉と茎を使った茶の販売を昨年12月末から始めた。珍しさもあって好評だという。農園では実の販売以外にも、葉を使った加工品生産にも意欲を見せるなど、「バナナの可能性」を追求し続けている。

 バナナ茶の販売を手がけるのは「阿波甘蕉園」。8アールのビニールハウスで約200株を育てている。品種は寒さに強いアイスクリームバナナなど。年間200~600本を生産しており、地元の産直市場などに卸している。品種によって一本約300~600円程度と割高だが、無農薬の安心感もあってか、売れ行きはいいという。

 代表の矢野忍さん(47)=同県板野町=が、捨ててしまうだけだった葉の活用を探るため、使い道をSNSで呼びかけたところ、藍茶専門店「こはる日和」(同県阿南市)から「お茶にできる」と声がかかり、開発を頼んだという。

 原料は葉と茎のみだが、褐色で少し甘く、飲みやすい。「お茶を飲んで風味を探ったとき、バナナがいると感じた」(矢野さん)と、商品名は「あ!和ばなな」。3グラム5袋入りで1200円。阿波市や徳島市の産直市場や飲食店などで販売している。

 矢野さんがバナナ栽培を始めたのは2018年初夏。主婦で農業経験もなかったが、祖父母が桃やブドウの栽培をしているのを見て育ち、「何かやるなら農業と思っていた」。使い道がなかった親族の借地を活用できることになり、子どもの離乳食で身近だったバナナ栽培に興味を持った。農園がある岡山や岐阜へ見に行き、「面白そう、あまり誰もやっていないものを育てたい」と決断した。

 しかし、収穫への道のりは決して甘くなかった。「変な葉っぱが出た」と思って切り取ると、中から「バナナの赤ちゃん」が出てきて、落ち込んだことも。初めて黄色く色づいた実を見たときは鳥肌が立った。土づくりなど、まだまだ課題は多く、採算は取れていない。

 それでも、「バナナは捨てるところがない。可能性ばかりで楽しくて仕方ない」と屈託がない。葉の加工品の製作にも挑戦し、手編みのわらじや紙もつくった。「沖縄にはバナナの繊維を使った布があり、アフリカでは葉で編んだバッグもある」と、さらなる商品展開に目を輝かせる。

 矢野さんの一日はビニールハウスに行って「おはよう、調子はどう」とバナナに話しかけることから始まる。車のナンバーは「877」という徹底ぶり。子どもは「バナナにとりつかれている」と笑うという。

 「素晴らしい出会いがあり、色んな方が応援してくれる。趣味で栽培している方も含めて、徳島県産バナナのたたき売り大会なんて出来たら」と話す。矢野さんのバナナ愛はつきそうにない。問い合わせは阿波甘蕉園(090・7622・2699)。(杉田基)