ゆらめく染料に薫る異文化との出会い 伝統装飾「エブル」めぐる絵本
遠藤美波
水面に散らした染料で模様を作り、紙に写し取る「エブル」という伝統装飾がトルコにある。その伝統装飾を現地で学んだ西宮市在住の男性が、絵本を作った。「エブルの魅力だけでなく、コロナ禍で失われた、異文化と出会う喜びを伝えたい」という。
男性は、出版社を営む末沢寧史さん(40)。構想から10年かけて制作した絵本「海峡のまちのハリル」を昨年12月に出版した。
物語の舞台は100年前のイスタンブール。エブル職人を祖父に持つ主人公のハリルが、近所に住む日本人の少年たつきを連れて、バザール(市場)まで祖父のおつかいに行く、という物語だ。
この物語は、末沢さんの体験がもとになっている。
20歳のとき米同時多発テロが起こり、イスラム世界に興味を持った。慶応大大学院在学中に、交換留学でイスタンブールへ。そこで出会ったのが、博物館に展示されていたエブルだった。
見たことのない流線でつくら…
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