アサリの産地偽装 かかわった業者が手口明かす「悪習当たり前と」

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石田一光、川見能人 伊藤秀樹、大木理恵子 安田朋起
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 外国産アサリを熊本県産としていた産地偽装問題で、熊本県は県産アサリの出荷停止という異例の対応に踏み切った。背景には、県産ブランドのイメージが揺らぎかねないとの知事の強い危機感がある。なぜ産地偽装はここまで横行したのか。過去の過ちを認め、業界の悪習を打ち明ける業者もいる。

「長いところルール」悪用

 食品表示法は「輸入品は原産国名を表示する」と定める。ただ、アサリなどの水産物には例外があり、2カ所以上で育てた場合は、育った期間が長い場所を原産地として表示することを認め、「長いところルール」とも呼ばれる。どこで長く育てられたかは、外見では判断できないため、食品表示法は卸業者や小売店など流通に関わる業者に対し、どこで育てられた期間が最も長いかを取引先に書類で確認するよう求めている。

 福岡県柳川市の水産物卸売会社「善明」の吉川昌秀社長(34)はこうした法律の抜け道を悪用し、「産地偽装をして商いをしてきた」と明かすと、偽装の手口を語った。

 吉川社長の会社ではかつて、中国産のアサリを仕入れ、生育期間を短くした証明書を出してもらうよう仕入れ先に依頼。架空の輸入業者や蓄養業者を間に挟ませ、国外より国内で育った期間の方が長いよう書類上整えていたという。

 アサリは下関港山口県)に陸揚げした後、熊本県の海で一時的に蓄養し、卸問屋に卸した。卸し先は全国に広がり、取扱量は年間約7千トンに上ったが、外国産と表記していたのは1割程度だった。

 吉川社長は産地偽装について「業界に入った時からの仕組みで、悪習を当たり前と思い、罪の意識が薄かった。『外国産だと売れない』という業界の固定観念があった。今思うと、情けない」と振り返る。

 こうした産地偽装に絡んだ結果、刑事裁判で罪を問われることになった。

 「産地偽装はもうしない」との反省から「産地偽装撲滅」をうたった協議会を設立。賛同者を集め、安全で蓄養期間を正しく記録し、原産地を明示したアサリの販売に取り組む。「情報をオープンにする。当たり前のことだけど、当たり前じゃなかったこと。苦しい状況だが、前向きに取り組んでいる。次の世代も偽装を続けることが一番悲しい。悪習が摘発されるのは、自分で最後にしたい。堂々と中国産が売れるよう、何ができるかを考えていく」と話す。(石田一光、川見能人)

報道きっかけに動いた熊本県知事

 「産地偽装は生産者と消費者…

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