第1回SNS中傷、なぜ「加害者」が守られる? 訴えて見えたいびつな構図

有料会員記事

藤えりか
[PR]

 クリエーティブディレクターの辻愛沙子さん(26)は2021年、書類に連なった文言に、目を疑った。

 辻さんは、ツイッターなどで「誹謗(ひぼう)中傷」を書き込んだ人の個人情報を開示するよう求める訴えを、ツイッター社やネットのプロバイダー(接続事業者)に対して相次いで起こしている。訴訟プロセスの中で、プロバイダーから代理人弁護士を通して送られてきた答弁書や準備書面を相次ぎ読んだ。

 そこには、書き込みについてこんな見解が書いてあった。「一般論の意見や感想に過ぎない」「名誉感情侵害と言えない」。辻さんには、まるで投稿者の立場に寄り添うかのような反論に思えた。「ひどい書き込みをした人を、なぜ接続事業者がこんなにかばうのか」

 実は、こうした書面が送られてくるのには理由がある。

SNS上の誹謗中傷――。それが「書き込んだ人の問題」であることは疑いがありません。しかし、ネット上の仕組みや法制度、企業のあり方も、被害の回復をより難しくしています。被害者をさらに追い詰めるものは何か。その構造を追いました。記事の最後では、記者によるポッドキャストでの解説もお聞きいただけます。

大量に押し寄せる中傷をリスト化

 辻さんはジェンダー平等や人…

この記事は有料会員記事です。残り1591文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    津田大介
    (ジャーナリスト)
    2022年2月9日17時20分 投稿
    【解説】

    インターネット上における言論を考えるうえでの「基本書」とも言われるのが、米国の憲法学者キャス・サンスティーンによる『インターネットは民主主義の敵か』(毎日新聞社、2003)です。原著は2001年発表で、ツイッターなどのSNSはおろかブログの