「横浜にぎわい座」が20周年

進藤健一
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 【神奈川】「ハマに演芸の灯をともそう」と、2002年に横浜市中区野毛町3丁目にオープンした「横浜にぎわい座」が4月に20周年を迎える。落語を中心に漫才や浪曲、大道芸の舞台を企画。若手芸人の育成にも力を入れ、ファンを増やしてきた。

 宵闇が迫ると、玄関のちょうちんに明かりがともり、「チャカチャンチャンチャン」の寄席囃子(ばやし)に人々が次々と吸い寄せられていく。

 野毛町にほど近い伊勢佐木町界隈(かいわい)は明治から大正にかけ、寄席と芝居小屋が20軒ほど立ち並び、大衆芸能の中心地として栄えていた。「横浜にぎわい座」はこの伝統を受け継ぎ、横浜市が全国初の自治体設置の大衆芸能館として、旧中税務署跡地の再開発ビルの中に設けた。1階席280席、2階席111席の芸能ホールのほか、若手のライブなどに使われる小ホールもある。

 初代館長は「ロッテ歌のアルバム」(TBS系)の名司会で、「1週間のごぶさたでした」の流行語でおなじみだった玉置宏さん(1934~2010)。落語協会落語芸術協会の垣根のない合同公演を実現した。「お客様に磨いてもらってこそ、本物の芸人ができあがる」。若手演芸人の持ち時間もたっぷりと確保した。

 2代目館長は、「ハマに定席を」と歴代市長に掛け合い、建設の言い出しっぺでもあった生粋のハマっ子の桂歌丸師匠(1936~2018)。「古典は誰かがやらないと途絶える」。幕末から明治に活躍した三遊亭円朝の「真景累ケ淵」といった作品を演じる独演会を「にぎわい座」で取り組み、CDやDVD化して、後世にその至芸を残した。

 そして3代目の現館長は、演芸評論家布目英一さん(61)。開館当初から主催公演の企画、立案に携わってきた。「生の舞台から元気をいっぱいお持ち帰りいただけるようスタッフ一同、尽力いたします」と布目さん。伝統を受け継ぎながらも、伝統芸能にとらわれることなく、鉄道アナウンスのものまね芸人や、発泡スチロールを客の要望で自在に成形する芸人といった新機軸にも挑戦している。

 落語界の第一人者でもあった歌丸師匠の夢は「にぎわい座」育ちの名人を誕生させることだった。

 「客が磨いてこそ本物の芸人」。高座と客席との間でこの理念が共有されている限り、名人への道が開かれるのもそう遠くではないだろう。

 20周年を記念したさまざまな公演が4月から5月にかけて予定されている。問い合わせは横浜にぎわい座(045・231・2515)へ。(進藤健一)