オペラになった竹取物語 笑い泣いて、ときめくかぐや姫
小味渕彦之・音楽評論家
びわ湖ホールの芸術監督で指揮者の沼尻竜典(りゅうすけ)が、台本と作曲を手がけた歌劇「竹取物語」の再演(1月22日・大津市の同ホール)。2014年に横浜で演奏会形式で初演の後、15年にベトナムのハノイとびわ湖で舞台上演された。
今回は、栗山昌良(まさよし)の原演出を中村敬一が描き直し、オーケストラが舞台にのって、その周囲で演じるセミステージ形式にした。映像も効果的だ。タイトルロールのみダブルキャストで、初日の幸田浩子(こうだひろこ)の回を見る。指揮は沼尻自身が担った。
竹から生まれた「かぐや姫」が月に帰るおなじみの物語。新型コロナの感染拡大の影響で、簡便なセットのセミステージ形式に変更されたとはいえ、オペラでしか表現し得ないドラマが遜色なく舞台に結実した。
繊細な弱音から、ダイナミッ…