海軍の航空基地跡を宅地開発「今月中旬にも」 研究者ら保存求め声明

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榊原織和 大村治郎
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 第2次世界大戦末期に海軍航空基地として造られた大社基地の跡地(島根県出雲市斐川町出西)について、土地を国から購入した株式会社アリオン(同市今市町)が、宅地として開発するため、今月中旬にも工事を始める計画であることがわかった。文化財として保存を求めている研究者団体は3日、開発を危惧する緊急声明を出した。

 アリオンによると、取得した約2万7千平方メートルのうち、中央部分の約1万8千平方メートルを宅地開発し分譲する。出雲市に申請している開発許可はまもなくおりる見通しで、今月中旬にも着工するとした。市有地との交換を出雲市と協議している西側の土地と、残りの東側についての計画は未定。

 先月30日に基地跡地周辺住民を対象に説明会を開き、約30人の参加者から反対の意見はなかった。参加者によると、分譲地は64戸分ほど。「住宅の新築が相次いでいる土地で、冠水の心配がなく、災害に強い住宅地として最適」との説明があったという。

 国有地だった大社基地跡は昨…

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    今井邦彦
    (朝日新聞記者=歴史、考古学)
    2022年2月5日16時17分 投稿
    【解説】

     戦争遺跡は、保護や研究の対象として注目されるようになってから、まだ日が浅い遺跡です。明治~昭和の近代施設であり、原爆ドームなど象徴的な一部を除いて、長く公的な保護の対象とは考えられてきませんでした。記事中で島根県が「戦争遺跡の文化財として