スピルバーグ監督「ウエスト・サイド・ストーリーは今の時代の映画」

有料会員記事

ニューヨーク=中井大助
[PR]

 スティーブン・スピルバーグ監督の最新作、「ウエスト・サイド・ストーリー」が11日から、日本で劇場公開される。初演から60年余りが経つ名作ミュージカルをいま映画化した理由と、そこにどのような思いを込めたのか。名匠が取材に語った。

61年の映画はアカデミー10部門獲得

 「これは今の時代の映画だ。舞台は1957年だが、今日的な価値があまりにもある」

 映画の設定について、スピルバーグ監督はこう語る。

 ウエスト・サイド・ストーリーの下敷きは、シェークスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」だ。舞台を中世のイタリアから20世紀のニューヨークへと移し、対立しているのは二つの家ではなく、白人の「ジェッツ」とプエルトリコ出身の「シャークス」という二つのギャングだ。

 「二つのグループがそれぞれに場所を求め、そこには自分たちの場所しかないと訴えている」。移民と差別、人種間の対立など、今日の米国が抱える問題と重なる。

 だが、対立を超えて生まれる愛情もある。物語はジェッツの元リーダーのトニーと、シャークスのリーダーの妹のマリアが恋に落ちていく様子と、それがもたらす悲劇を追う。

 57年に初演されたミュージカルは、61年に映画となり、大ヒットした。アカデミー賞を10部門獲得し、現在もファンが多い。

肌を塗った白人俳優からヒスパニック

 ただ、原作のミュージカルも、今でも世界中で上演されている。監督は「何千回も上演されており、そのたびに新しい解釈が生まれている。だからこそ、多くの人がハリウッドの傑作だと思う映画に背き、この物語を世界中の人に伝える勇気が得られた」と打ち明けた。

 映画化にあたって、脚本は一から練り直し、多くの役は肉付けされた。映画のセットも、ニューヨークの町並みを写実的に描いている。「物語をニューヨークの道に出すことで、現実的な役を作りだし、本当の人生、本当の苦しみ、本当の恋愛を描いている」

 プエルトリコ系の役の描き方も、61年の映画と大きく違う。以前の映画では、大半を非ヒスパニックの白人が演じ、濃い茶色のメイクで肌を「褐色」に見せた。しかし、今回は役者全員がヒスパニックで、肌の色も多様だ。

 「以前の時代に戻って責任を追及するつもりはない。我々は人類として進化しつつあり、これからも進化する。ただ、私はプエルトリコ系の配役の全てがラティーノ(中南米系)であるということを条件とできなければ、この映画を作ることはしなかった」

記事の後半では1961年の映画と今作をつないだキャストの存在、そして主人公のマリアとトニーを演じたレイチェル・ゼグラー、アンセル・エルゴートのインタビューもお届けします。

アニータ役が新たな役で

 「進化」は人種にとどまらな…

この記事は有料会員記事です。残り937文字有料会員になると続きをお読みいただけます。