地図にない山、掘り続ける職人 世界にファン「2.5億年前」の砥石

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原田達矢
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古都ぶら

 ちょっと珍しい台所グッズを取材するだけのはずが、2億5千万年前の世界にたどりついていた。古都京都とは言うけれど、ここまで古いものがあったとは……。

 亀岡市の北西部に、地図では見つからない通称「丸尾山」がある。1月中旬、私は、その内部に造られた採掘場にいた。

洞窟に響く金属音

 山の中腹から獣道を10分ほど上がり、洞窟のような入り口から坑道を進んだ先にある。弱めの照明に助けられて周りを見渡すと、黄土色や赤い色の複雑な模様が目に入った。ごつごつの岩壁が広がっていた。

 カーン、カーン。響き渡る金属音。鉄製のハンマーで岩に杭を打ち込んでいたのは、土橋要造(つちはしようぞう)さん(71)。1877(明治10)年創業の採掘加工業「砥取家(ととりや)」の4代目だ。

 取材のきっかけは、亀岡市職員との雑談。「おすすめスポット」を聞いたら、湯の花温泉などの定番とともに「天然砥石(といし)の産地としても有名だったんですよ」と教えてくれた。

 包丁を研いだことすらなかった私だが、天然という響きに興味がわいた。そして紹介してもらったのが、亀岡で唯一の天然砥石職人、土橋さんだった。

 砥石を見るはずが、洞窟のような現場で肉体労働を見守ることになるとは。どうしたものかと思っていると、土橋さんは手を止めて言った。

 「この地層は2億5千万年前から火山灰やプランクトンの遺骸が積もって、できています」

 あまりの「古都」ぶりに驚いた。土橋さんに教わり、後で資料もひもといて知ったのは、以下のようなことだ。

超大陸パンゲアのころから…

 亀岡を含む一帯は丹波山地と…

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