久喜市新庁舎建設撤回、市長表明

佐藤純
[PR]

 埼玉県久喜市の梅田修一市長は6日、市役所を建て替え、保健センターや子育て支援施設と合わせて複合化する計画を撤回すると表明した。決定過程が不透明との批判や、耐震補強済みの現庁舎を使い続けるべきだという指摘などが、市議会や市民から相次いだため。

 市議会本会議で代表質問に答えた。再選を目指す4月の市長選を前に、軌道修正を図った形だ。

 現在の市役所本庁舎は建設から40年以上経って手狭になっており、梅田市長は複合化した新庁舎建設を2020年に打ち出した。

 市は昨年3月、「公共施設個別施設計画」を策定。現在の本庁舎と第2庁舎、三つの総合支所、四つの保健センター、六つの子育て支援施設を集約する「新総合複合施設」が目玉だった。20年代後半に着工し、29年に使い始めるスケジュールを描いた。建設費だけで85億円との試算だった。

 新施設の是非は市議会で繰り返し議論になった。賛成意見の一方で、意思決定の経緯や詳しい試算が公表されていないことへの批判、用地買収などを含めて100億円以上かかるのではないかとの懸念、現庁舎を生かしながら行政機能の集約化を考えるべきだという意見などが相次いだ。

 梅田市長は6日の市議会で、「市民の混乱を招くことは本意ではない」と撤回の理由を説明した。今後、現庁舎を引き続き使いながら行政機能を集約することを検討する。

 市は新総合複合施設の計画を具体化するため、昨年10月に大学の研究者や市内の団体代表らによる検討委員会を設けたほか、計画づくりの支援を委託する契約をパシフィックコンサルタンツと12月に2365万円で結んだばかり。1月に発表した新年度予算案には関連費用を盛り込んだ。撤回に伴い、これらの扱いを検討する。

 10年に旧4市町が合併してできた久喜市では、似通った施設が各地域にある。人口や税収が減っていくと見込まれる中で、行政の機能を維持しながら効率化を進めることが課題になっている。

 梅田市長は、公共施設個別施設計画に盛り込んだ、障害者施設と地域の集会所の民間譲渡も撤回すると表明した。障害者と家族、自治会関係者らから不安の声が上がっていた。(佐藤純)