どんな道でも自動運転、愛知製鋼の挑戦 30年かけてシステム進化

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三浦惇平
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 どんな道でも自動運転で走る。そんな未来を実現させるため、磁気センサーを使ったシステムを、トヨタ自動車系素材メーカーの愛知製鋼愛知県東海市)が開発中だ。その歴史は長く、30年ほどかけて進化を重ねてきた。テスト走行もすでに始まっている。

〈愛知製鋼〉愛知県東海市。トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎が1934年、豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)内に設置した製鋼部門を源流とする。鋼材と、エンジンなどに使われる鍛造部品で売り上げの大半を稼いでいる。電気自動車(EV)が普及すれば、主力の特殊鋼は需要が減るため、磁気システムなどを新たな事業の柱として育てようとしている。2022年3月期の売上高は2620億円の見込み。

雪道でも自動運転

 岩手県陸前高田市三陸海岸沿いにつくられたバス専用道。3年前の冬、雪が降り積もるなかを、自動運転のバスが走った。

 路面には、数メートル間隔で磁気を発する「マーカー」が設置された。バスは車体の底に取り付けたセンサーで、磁気を感知しながら進んだ。

 この磁気システムは、車に搭載した地図データとマーカーを照らし合わせて、車の走る位置を修正する。誤差は0・5ミリ以内に収まるという。

 特長は、過酷な環境でも的確に位置を把握しやすいことだ。たとえば、自動運転に使われるほかのセンサーが苦手とする雪道。レーザー光で物体の形状をとらえる手法やカメラによる把握では精度が落ちるとされるが、磁気システムならそれほど問題にならないという。

 カメラでの識別が難しくなる逆光時や、GPS(全地球測位システム)が使えないトンネルや山間部でも、力を発揮しやすい。開発を担う未来創生開発部の長尾知彦グループ長(50)は「環境の変化があっても安定して使える。ほかのセンサーと併用すれば、苦手なところも補完できる」と説明する。

愛・地球博にも登場

 自動運転時代の到来を見据えた技術といえるが、その研究は1990年代から世界各地で始まっていた。愛知製鋼は磁石の性質について研究するなかで、92年から自動運転の実現へ向けても可能性を探りはじめた。

 課題はコストだった。200…

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