寝具が推し…滋賀大生、浜ちりめんの新商品提案

永井啓子
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 滋賀県長浜市の高級絹織物「浜ちりめん」の活路を探ろうと、滋賀大経済学部の三つのゼミ生たちが、「浜縮緬(ちりめん)工業協同組合」に所属する3社とマーケティング研究に取り組んだ。和装需要の激減に加え、コロナ禍で催事販売が減り、苦境にある地場産業。学生らは独自の切り口で、新商品や認知度アップのアイデアを提案した。

 陳韻如(チンインジョ)准教授(経営学)のゼミで学ぶ神沢草介さん(21)ら7人は、コロナ禍で生活行動がどう変化したか、インターネットで調査した。10代後半~20代の女性を中心に213人が回答。睡眠時間が増え、スキンケア・ヘアケアへの関心が高まっていること、肌に優しい成分や保湿力を意識するようになったことが分かったという。

 さらにシルクの認知度や購入意欲を尋ねると、9割近い人が具体的なシルク製品を知らないと回答。一方で、およそ7割がシルクを含む天然素材を使った商品を「今後購入したい」と答えた。シルク以外の通常商品より1~2割高くても買うと答えた人が多かった。

 1月25日にオンラインで開かれた研究報告会で、神沢さんらは、こうした結果を報告。ナイトキャップや枕カバーなどの新商品を提案した。ハンドメイド品を扱うサイトを活用したオンライン販売や、地元の小学生向けの「バーチャル社会見学」のアイデアも披露した。

 兵庫県出身の神沢さんは「浜ちりめんのことは正直知らなかったが、工場を見学し、話を聞くうちに素晴らしい伝統産業だと感じ、広めたいと思った。コロナによる生活変化を踏まえ、寝具を推した」と話した。

 このほか、岡本哲弥教授(マーケティング論)のゼミ生は、浜ちりめんへの支払い許容額を調査・分析した。また、竹中厚雄准教授(経営学)のゼミ生は、織田信長がまとったと伝わる「輪奈(わな)ビロード」のマントを博物館に展示する案などを出した。輪奈ビロードは、おうとつのある柄が特徴のシルク生地で華やかさがある。

 浜縮緬工業協同組合の理事長で、「吉正織物工場」社長の吉田和生さん(64)は、「産地規模は小さくなってしまったが、3社をはじめ産地全体で、積極的に新しいことに取り組む姿勢がある。学生らの研究成果をぜひ生かしていきたい」と話した。(永井啓子)

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