中国にらみ大きな賭け 蔡英文政権がいま、日本食品を解禁する理由
台北=石田耕一郎
台湾が2011年から続ける福島県など5県産の日本食品の輸入禁止を解除する見通しになった。環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を目指す蔡英文(ツァイインウェン)政権は、日中国交正常化50年を迎える中国の動きを横目に、対日関係強化を目指す考えだ。ただ、世論の5割超が解除に反対を示すなか、今回の判断は政権にとって大きな賭けでもある。
蔡政権の陳時中衛生福利部長(厚生労働相に相当)は7日の記者会見で、日本食品の輸入再開について「正常化の方向で進んでいる」と語った。
禁輸から11年近くを経て解除に踏み切る背景には、台湾にとって悲願と言えるTPP加盟をめぐる交渉がある。中国の圧力により国際社会での政治的な活動が制限される中、台湾は各国との経済協力を通じて存在感を維持し、中国に対抗することが欠かせない。
2016年に成立した蔡政権…