殺される「無用な」ひよこ、年4500万羽 規制に踏み切ったドイツ

有料記事

ベルリン=野島淳
写真・図版
[PR]

 年4500万羽――。ドイツで卵からかえってすぐ、殺処分される雄ひよこの数だ。卵を産まず、食肉にもならないから、殺す、という現状を変えようと、殺処分を禁止する法律が今年1月、世界に先駆けてドイツで施行された。卵の値は上がったが、消費者にアニマルウェルフェア(動物福祉)の訴えは届くか。(ベルリン=野島淳

野島淳

のじま・じゅん 1973年生まれ。経済部やブリュッセル支局などを経てベルリン支局長。ツイッターは@nojimajun

 青空の下、雪に囲まれた鶏舎の前で数百羽の鶏がえさをついばみ、歩き回っていた。ドイツ南部ミュンヘンから南に約30キロのディートラムスツェルにある養鶏農家だ。

 「400年前から続く数少ない農家なんだ」。ミヒャエル・ヘシュさん(61)は家族とパート従業員の7人で農場を切り盛りし、約1万6千羽の採卵鶏を育てる。

 卵関係の食材を売る自分の店に加え、地元スーパーや飲食店、ホテルなどに卵を売る。だが、表情は厳しい。

 「昨年10~12月、一部の販売先では売り上げが3割近く落ちた」。今年1月1日に施行された改正動物福祉法で、雄ひよこの殺処分が禁じられた影響が出たのだという。

 私たちが普段食べる卵は、採卵用に特化して育てられた鶏から生まれる。食肉用の鶏も特化して育てられており、採卵用の品種の雄ひよこは食肉には適さず、「無用」とみなされる。

 このため、卵からかえってすぐ、窒息させるなどして殺されてきた。日本を含め他の世界各国でも同様だ。

 殺された雄ひよこは、動物園…

この記事は有料記事です。残り2753文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。

  • commentatorHeader
    高久潤
    (朝日新聞エルサレム支局長=文化、消費)
    2022年2月13日19時48分 投稿
    【視点】

    卵を産まない雄ひよこの殺処分がドイツで禁止されました。欧州では、動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)を重視する規制がこれまでも進められてきましたが、さらに一歩踏み込んだ内容です。 動物の福祉について、私もこれまで取材してきましたが、こ