ベンダーロックイン横行か、独禁法違反の恐れも 公取委が見解公表

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田中恭太
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 国や自治体の電子申請システムや職員向けソフトなど、行政が使う情報システムの調達について、公正取引委員会が8日、課題をまとめた報告書を発表した。業者がシステム受注の際に不当な「囲い込み」をした場合、独占禁止法違反にあたる恐れがあるとの考え方を初めて示した。一方、行政側のIT分野の人材不足がそうした事態を招きうるとも指摘。デジタル庁に支援を促している。

 システム調達をめぐっては、その業者しか対応できないような特殊な仕様で作られたことなどが原因で、受注が特定の業者(ベンダー)に固定される、いわゆる「ベンダーロックイン」の問題がこれまでも指摘されてきた。業者間の競争がなくなって費用が高止まりし、利用者のサービスが低下する恐れがある。

 公取委独禁法上の問題がないかなどを調べるため、昨年6月から国や地方自治体1835機関へのアンケートや業者らへの聞き取りを実施。官公庁からは約1千の回答を得た。有識者らとも法的な問題などについても検討してきた。

 回答した行政機関の99%が「(一度契約した)業者と再度契約をしたことがある」とし、「システムの詳細をその業者しか知らなかった」(48%)、「システムの技術に係る権利がその業者に帰属していた」(24%)ことを理由に挙げた。

 さらに、業者から自社のみが対応できる仕様を求められたり、提示されたりしたと39機関が回答。「業者の営業担当者は仕様書の意見招請などの時に、様々な手段で自社の独自仕様を仕込ませようとする」と説明する業者もあったという。

 こうした実態を踏まえ、公取委は報告書でベンダーロックインについての考え方を明示した。行政側が仕様に精通していないことに業者がつけ込み、不正確な情報を提供するなどして、自社だけが対応できる仕様にして他社の参入を難しくさせれば、独禁法が禁じる私的独占や取引妨害にあたる恐れがあるなどとした。

 また、国内では海外で進んで…

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