カネミ油症で初の次世代調査、中間報告「患者特有の症状目立つ」
食用油にダイオキシン類が混入した国内最大規模の食品公害「カネミ油症」について、患者の次世代に初めて調査した中間報告が、8日の油症対策委員会で示された。患者特有の倦怠(けんたい)感や頭痛といった症状や先天性疾患が目立つといい、さらに分析を進める。
次世代調査は、患者の認定基準などを策定する「全国油症治療研究班」が昨年、アンケート方式で実施した。認定患者の子や孫388人が回答し、居住地は福岡県が117人と最も多く、長崎69人、愛知30人と続いた。
自覚症状の項目では「倦怠感がある」が165人(42・5%)、「頭痛・頭が重い」が154人(39・7%)。また、先天性疾患では「早産・低体重」が20人(5・2%)、「歯牙(しが)欠損」など歯の病気が19人(4・9%)、口唇口蓋裂(こうがいれつ)と心室中隔欠損症が各3人という回答だった。
こうした事例について、辻学班長は「多いと感じた。解析を進め、一般の人と比べてどうか、データを集めたい」「社会的な解決が必要になることもあるかも」などと述べ、次世代の認定基準のあり方の議論を深める考えを示した。今後は、血中ダイオキシン濃度を測る油症検診を受けてもらい、調査を積み重ねていくという。
患者の女性は「声には出せないけれど、苦しい声が示された」、患者団体の代表、曽我部和弘さんは「認定基準の見直しにつなげていきたい」と話した。
1年後に再び中間報告があり、2023年夏に最終報告書が提出される予定。(高木智子)