市議「畑に入るのも政務調査だ」  政活費の使用、不適切との指摘に

鵜沼照都
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 政務活動費が不適切に使用されたと指摘される事例が、山形県鶴岡市議会で次々と表面化している。2020年度分までで前職を含め6人で発覚。いずれも、皆川治市長の選挙資金問題を厳しく追及している自民党系の議会最大会派「新政クラブ」所属だ。

 市議の政活費収支報告書は議会のホームページで公開されている。

 2019年度分では、ガソリン代の領収書に、本来は必要な明細がないケースがあった。当時、議長だった本間新兵衛氏(65)、ともに議長経験者の渋谷耕一氏(72)と佐藤文一氏(21年で引退)、現副議長の本間信一氏(73)、五十嵐一彦氏(64)の5人で、40件ほどあった。

 市議会は同年度から、領収書に明細を付けるよう政活費の「手引き」を見直している。同会派団長の尾形昌彦氏は「手引きが変わった年度末で、過渡期の運用としてそうしてしまったと聞いている」と説明する。

鶴岡市議会の自民系議員で次々

 渋谷氏については20年度の収支報告で、実際とは異なるガソリン単価を書き込んだ領収書を提出していたことも明らかになった。毎月のガソリン代領収書の単価が、12枚とも「1リットルあたり164円」と虚偽の数字を記載していた。

 渋谷氏は2日の議会運営委員会で「給油所発行の明細書がかつての家業の会社宛てだった。個人名で領収書を取り直す時間がなかった」と説明。「修正し市民におわびしたい」とした。

 渋谷氏はさらに、16年5月と11月、17年1月に、通院する妻に同行して新潟県内の病院に行った際のガソリン代(3回分計2万1750円)を「医療実態調査」として提出していた。

 政活費は本来、私的な活動については支給されないが、尾形団長は「政活費の調査・研修報告書も出されているし、17年9月議会で一般質問している。県外や車での移動、同行者の有無に関しては禁止されていない。問題はない」と話す。

 同会派の石塚慶氏(44)については、18~20年度のガソリン代について、領収書の宛名を自筆で書き加え提出していた。石塚氏は「クレジットカードを使った支払いでは、領収書に自分のカード番号しかなく、自分で名前を書き加えた。名前入りの領収書発行を給油所に頼むべきで、誤解を招く方法だった」。

 尾形団長は「不備や不適切があったのは事実だが、過大な請求とか虚偽の請求ではなく書類の不備。可能な限り補記をしていく」と話す。

「俺なりの質問のテクニックがある」

 複数の指摘を受けている渋谷耕一市議(72)に話を聞いた。

 19年度分の明細書の不添付については「手引きが変わったのを知らなかった。会派の会計責任者に任せていて、よくわかっていなかった」。20年度分のガソリン単価の虚偽記載については「領収書に単価のただし書きがないと、会派の会計責任者から指摘された。実家の会社名での明細書はあったが、個人名の明細はなく、時間もなかったので、深く考えず処理してしまった。過分な請求はしていないが、適切ではなかった。面目ない」と述べた。

 新潟県内の病院へ通院する妻に同行したことを「政務活動」としたことは「何ら恥じることはない」とした。病院側に、市議の身分を明かしたり「政務調査・研究のため」と伝えたりはしなかったという。

 渋谷氏は「俺なりの質問のテクニックがある。具体的なデータは個人情報だとして教えてもらえなかったが、病院職員たちと雑談をしながら、自分が欲しい話はちゃんと聞きだした。ネクタイをして名刺を持って行くだけが調査ではない」と説明。「俺たちは畑に入っていくのだって政務調査だ」と述べた。

 病院長などに約束をとらなかったことは「俺はそんなレベルではない。名乗ると『議員のくせにそんなことも知らないのか』と言われることもあるので気が引けた」。

 3回の病院訪問で得た内容は、議会での一般質問に盛り込んだという。渋谷氏は「質問の結果として、政策に具現化はされていないが、これまでもそうやって質問し、具現化してきた。それが議員の快感だ」と話した。

 渋谷氏は現在4期目。議長や議員定数等検討特別委員会や懲罰特別委員会の委員長を歴任している。(鵜沼照都)