金正恩体制の核心は「白頭の血統」 父から継承して10年、妹は象徴

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聞き手・桜井泉 聞き手 ソウル=神谷毅 ワシントン=園田耕司
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 北朝鮮金正恩(キムジョンウン)総書記が権力を継承して10年が経った。この間に権力を固め、軍事力を強化したものの、経済は困窮状態のままだ。この先にはどんな戦略を描いているのだろうか。

粛清や激しい人事、「先軍政治」から独自体制に 平岩俊司さん(南山大教授)

 父の金正日(キムジョンイル)氏から権力を引き継いだ正恩(ジョンウン)氏は、この10年で自らの体制をつくり上げました。父の時代は、ソ連や東欧の社会主義体制が崩壊した後、軍に依存し軍事を最優先として危機を乗り越えようとする「先軍政治」の体制でした。それを社会主義国家の本来の姿である労働党中心の政治体制に戻した。つまり、形だけであっても党の会議で政策を決め、政府や軍は、それを実行する機関だと位置づけました。

 また父の時代からの側近が粛清されたり、引退したりして姿を消しました。正恩氏が、昨年1月の党大会で党総書記に就任し、独自の体制が完成したと言えます。一方、人事を激しく動かした結果、有力な側近は軍出身の崔竜海(チェリョンヘ)・最高人民会議常任委員長くらいです。父には同世代の側近グループがいたが、それも見えない。最も信頼できるのは、妹の与正(ヨジョン)氏でしょう。

 彼女が権力をふるい、重要な決定をしているというよりも「金王朝」の権威の象徴とみるべきです。植民地支配下、白頭山を根拠地にして日本と戦ったとされる祖父金日成(イルソン)氏、そして父正日氏に連なる「白頭の血統」こそが、体制の正統性の核心なのです。

 体制のアキレス腱(けん)の一つは、正恩氏の健康問題です。杖をついて歩いたり、体重が増減したり、健康そうには見えません。万一の場合、頼りになるのは、白頭の血統を受け継ぐ与正氏です。3代にわたるこの体制は、権力を把握しても、権威が伴わなければ動かせません。

平岩さんは、北朝鮮がミサイル発射を繰り返す目的や、日本がとるべき対策の難しさを語ります。記事後半では韓国大統領府の政策諮問委員を務めた董竜昇さん、米政府で北朝鮮担当特別代表を務めたジョセフ・ユンさんが、金正恩体制を論じます。

 経済問題は、大きな不安要素…

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