クィアは正しいだけじゃない 映画の規範を問う研究者・菅野優香さん
田中ゑれ奈
かつて同性愛者への侮蔑語だった「クィア」は今、ジェンダーやセクシュアリティーの規範性を問い直す概念に変わったと、同志社大学大学院の菅野優香准教授は話す。研究者や作家ら11人がクィアの視点で新旧の映画を論じる編著「クィア・シネマ・スタディーズ」(晃洋書房)を、昨年11月に出した。
「真夜中のパーティー」「櫻(さくら)の園」といったゲイやレズビアンを描いた作品の分析や、「細雪」に見るアセクシュアリティー、バイセクシュアルやトランスジェンダー、身体障害者の表象。本書では、映画研究の専門家にとどまらない人選とテーマの多様さによって「クィア・シネマのダイナミズムを提示することを意識した」という。
学生時代を過ごした1990年代東京の雑多な空気の中で、芸術系映画の一種としてクィアな要素を含む映画に触れた。専門だったフランス映画から、次第に映画を含む視覚文化とクィアの関係に関心が移った。
ディズニー作品にもアクショ…