体外受精など、高額になりやすい不妊治療。4月から健康保険などの公的医療保険を使える治療が増え、患者は治療費の3割の負担で受診できるようになります。気になるのは、その料金。これまで自費診療中心で医療機関ごとにバラバラだった料金は、保険が使える技術の場合、国が統一の料金を決めることになります。厚生労働省は9日、保険が使える治療技術ごとの料金を明らかにしました。負担はどれほど減るのでしょうか。不妊治療にとりくむ医師の見方を踏まえて解説します。
いま、自営業らの国民健康保険や、会社員らが入る健康保険などの公的医療保険が利用できるのは、不妊の原因になる病気の治療などに限られ、多くの不妊治療では治療費をすべて自分で払わないといけない。例えば体外受精は、厚労省の調査では1回あたり平均50万円かかる。高額になりやすいのは、医療機関ごとに高度で複雑な先進的な技術を採り入れてきたためだ。
このうち、今回保険の対象となるのは、安全で多くの人に効果があると国が認めたものだ。厚労省はすでに、精子を子宮内に注入する「人工授精」、卵子を採り出して体外で精子と受精させてから子宮に戻す「体外受精」、顕微鏡で見ながら精子を卵子に注入する「顕微授精」などに保険を使えるようにする方針を打ち出しており、その料金に注目が集まっていた。
保険が使えるものは、診療報酬として国が技術ごとの統一料金を決める。診療報酬を話し合う中央社会保険医療協議会が9日に開かれ、保険が使える不妊治療の各メニューの料金が明らかになった。
体外受精を例にとると、全体でいくら、というものではなく、細かい技術ごとに料金が示された。体外受精と一口にいっても、薬剤などで体内で育てた卵子を体外に取り出す「採卵」手術を経て、卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を培養した後に女性の子宮に移植する、などの手順があるためだ。
体外受精に関わる主な料金は次のような内容となった。
・採卵術 3万2千円(960…