ウクライナ軍事侵攻、想定されるシナリオは 3方向を包囲で多様化

有料会員記事ウクライナ情勢

ワシントン=高野遼、イスタンブール=高野裕介
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 ロシア軍がウクライナを取り囲むように圧力を強めている。東部のロシア国境に加えて、北部のベラルーシでは大規模なロシア軍の演習が始まり、南部の黒海にもロシア軍艦が増派された。プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断すれば「3方向」から多様なシナリオの軍事行動が想定される。

黒海へ向かうロシア軍艦

 トルコの最大都市イスタンブール。9日午後9時すぎ、暗闇の中から3隻の軍艦が立て続けに姿を現した。ボスポラス海峡を、黒海に向けてゆっくりと進む。橋の照明に照らされ、灰色の船体に刻まれた「012」という番号が見えた。軍艦はロシア海軍の揚陸艦。朝日新聞の現地スタッフが確認し、写真を撮影した。

 ロシア国防省によると、黒海に向かったのはバルト艦隊と北方艦隊の揚陸艦6隻。クリミア半島にある黒海艦隊の拠点セバストポリに入った。揚陸艦は、搭載した軍用車両や兵士らを海上から陸地に送り込む役割を担う。黒海はウクライナ南部に面しており、米国はロシアが南部からも圧力をかける狙いがあるとみて警戒している。

 ウクライナは現在、北部、東部、南部の3方向をロシア軍に囲まれた状態だ。

 親ロシア勢力との紛争が以前から続くウクライナ東部の国境沿いには、ロシア軍の大部隊が集結している。加えて、10日からは北隣のベラルーシで11日間にわたる軍事演習が始まり、3万人規模のロシア軍が派遣された。南部クリミア半島にもロシア軍が集結し、黒海への軍艦の増派でさらに緊張感が高まりそうだ。

 米政府は、プーチン大統領は…

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2022年2月11日12時12分 投稿

    【視点】 2月7日、モスクワで行われた仏ロ首脳会談でプーチン大統領は、合同演習後、ロシア軍はベラルーシから撤退することを明言しています。北部のベラルーシ側からロシア軍がウクライナに侵攻し、2日で首都キエフを制圧するというシナリオは可能性が低いと思い