中国で2度目となる五輪が、再び人権問題への憂慮の渦中で開かれている。弾圧を逃れて国外に生活の拠点を移した人びとからは開催そのものに批判の声があがる。ただ、耳を傾けようという中国の姿勢は14年前よりも薄まっている。
中国は「酔っ払ったお父さん」
「ノー北京、ノーオリンピック!」
北京冬季五輪が開幕した4日、トルコの最大都市イスタンブールの中国総領事館近くで、数百人のウイグルの人びとが声を上げた。民族的に近いトルコには新疆ウイグル自治区から多くの人びとが亡命し、「第二の故郷」とも呼ばれる。人口は数万人規模ともされ、五輪を前にデモや集会を開いてきた。
参加者の一人、サブリジャン・ヤルクンさん(35)は、「五輪を開くことで、中国は私たちウイグル族の尊厳を踏みにじっている。この世に正義などない」と目に涙を浮かべた。
1カ月前には、「ジェノサイド(集団殺害)」などの人権侵害に関与したとして、新疆出身者ら19人が習近平(シーチンピン)国家主席や治安当局者ら112人をトルコ検察に刑事告発した。
告発したうちの一人、ヌール・ムハンマドさん(38)は、2016年からトルコに暮らす。きっかけは父から届いた一通の音声メッセージだった。
「息子が『病院』に入ると…
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