高い吟醸香 清酒フレーバーのビール発売 三重

菊地洋行
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 クラフトビール醸造の二軒茶屋餅角屋本店(三重県伊勢市)が昨年末、リンゴのような吟醸香の本格ビール「ZAKU酒粕(さけかす)ヘイジーIPA」を売り出した。県工業研究所(津市)と共同開発した酵母を使い、県産酒米や清水清三郎商店(鈴鹿市)の酒かすを使った清酒フレーバーのビールだ。

 二軒茶屋餅角屋本店は天正年間の1575年創業。こしあんを薄い餅皮で包み、きな粉をまぶした二軒茶屋餅は人気がある。1923年、みそ、しょうゆ醸造を開始。97年、「伊勢角屋麦酒」ブランドのクラフトビール製造に乗り出し、定番、季節限定の個性的なビールを販売している。

 清酒風味のクラフトビールは2020年、県産酒米「神の穂」や清水清三郎商店の代表銘柄「作」の酒かす、高い吟醸香が特徴の三重県の清酒酵母「MK3」を使って初めて商品化。限定商品としてファンから好評を博したが、吟醸香は十分ではなかったという。

 清酒とビールでは、糖をアルコールに変える発酵の過程が異なるため、清酒用のMK3が力を発揮できなかったことが原因だった。県工業研究所は二軒茶屋餅角屋本店と改良にとりくみ、昨年12月、ビール醸造に適した酵母「BMK3」の開発に成功。高い吟醸香が特徴の新たなビール酵母として、特許も出願した。

 ビールの個性と清酒の吟醸香の両立。県工業研究所主任研究員の丸山裕慎さん(31)、二軒茶屋餅角屋本店の品質管理責任者兼ブルワー、山宮拓馬さん(25)は「こういう面白いビールができるんだ」と、新たな酵母の誕生を喜んだ。

 まだまだ改良の余地があるといい、山宮さんは「クラフトビール業界を牽引(けんいん)するような商品をこれからもつくりたい」と意気盛んだ。

 ZAKU酒粕ヘイジーIPAは期間限定で、330ミリリットル瓶入りで880円(税込み)。350ミリリットル缶入りで定番のペールエールやヒメホワイト380円(同)、ヘイジーIPA569円(同)より高い値段設定となっている。(菊地洋行)