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精神科医が唱える「自閉」の可能性 過剰コミュ社会を生きるために

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構成・藤生京子
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 無差別に人々を襲い、自らも死を望むような事件が相次ぎ、惨劇へと駆り立てるものは何かという重い問いを突きつけている。マイノリティー(少数者)を排除する風潮を危惧し、過剰なほどコミュニケーション力が求められる社会であえて「自閉」の可能性を提唱する、精神科医の松本卓也・京都大学准教授に聞いた。

 まつもと・たくや 1983年生まれ。専門は精神病理学。著書に『心の病気ってなんだろう?』『人はみな妄想する』など。

     ◇

 初めに言っておきたい。近年、ショッキングな事件が起こるたびに一部の精神科医や心理学者脳科学者がマスメディアに登場し、精神疾患や異常心理が事件の背景にあることを示唆し、さらには危険な存在であるかのような発言をしてきたことを、僕は深刻な事態と考えている。

 専門家がやるべきは、人々の生きづらさに耳を傾け、少しでも生きやすくなるための支援である。それなのに、いかに読者や視聴者が身を守るか、そのために「危ない人間たち」を排除するかが中心に報じられる。結果的に、専門家が社会の偏見や差別を助長することに手を貸している。

 危惧する理由は、精神医療に…

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    高久潤
    (朝日新聞エルサレム支局長=文化、消費)
    2022年2月13日20時8分 投稿
    【視点】

    うつになる人というのは、職場の電灯を最後に消すタイプが多いーー。松本卓也さんのこの表現に、はっとさせられました。思い浮かびませんか?そんな人たちの顔が。多くの場合、決して苦しそうな顔を見せず、率先して仕事をして、なんなら先回りしていろんなこ