SNSの心ない声から失意の女王守った シフリンとキルデ、愛の物語

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編集委員・稲垣康介
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 途中棄権したアルペンスキーの女王、ミカエラ・シフリン(米)はコース端に20分以上座り込んでいた。9日の女子回転1回目。8年前、史上最年少で金メダルをつかんだ得意種目だ。

 「ずっと落ち込んではいられない。でも、今はかなり気持ちが落ちている」

 報道陣の問いかけに答える姿は、痛々しかった。

 2日前、前回金メダルだった7日の女子大回転でも序盤でコースアウトした。

 2020年2月、五輪は必ず現地で見守り、写真を撮ってくれた最愛の父ジェフさん(享年65)を事故で亡くした。引退も考えたが、周囲の励ましで復帰した。亡き父への思いが気負いを生んだのか。ワールドカップ(W杯)総合優勝3度の女王らしくない姿に、「落胆した」といったニュアンスの反応がSNSで見られた。

 一緒に北京五輪に出ているノルウェーのアルペンスキー代表、アレクサンデルオーモット・キルデが、コース端でうなだれるシフリンの写真と共に、インスタグラムに思いを寄せた。

 「この写真を見ると、いろいろなコメントを作れる。多くは『彼女は負けた』『彼女はプレッシャーに耐えられない』『何が起こったの?』とか。それは僕をいら立たせる」

 トップアスリートには必ずつきまとうこと、とした上で続けた。「とてつもない重圧。だから、同じだけの力で応援してあげよう。すべてはバランスだよ。僕たちは普通の人間なんだ。愛しているよ」

 キルデとシフリンは昨年から…

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