米ホワイトハウスは11日、バイデン米政権のインド太平洋地域の外交安全保障・経済政策を包括的に示した初の「インド太平洋戦略」を発表した。米政権が「地政学上最大の試練」と位置づける中国の挑戦に対し、米国は同盟国・友好国と安全保障・経済面での連携を強化して対抗する考えを明確に示した。同盟国・友好国同士の結束を固める必要があるとして、米国が日韓両国の「関係強化」を促す方針も明記した。
同戦略では冒頭、中国に関して「中国の抑圧と侵略は世界中に広がっているが、インド太平洋地域が最も激しい」と指摘。豪州やインド、台湾、東シナ海や南シナ海の周辺国に言及し、「我々の同盟国・友好国は、中国の有害な振る舞いがもたらす多くのコスト負担を強いられている」と強調。さらに「中国は人権や国際法を弱体化させている」と批判した。
同戦略はそのうえで、自由で開かれたインド太平洋の推進▽地域内外の関係構築▽地域の繁栄促進▽インド太平洋地域の安全保障の促進▽国家を超えた脅威に対する地域の回復力の構築――の五つの具体的な組みを明記。日米豪印(クアッド)や東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)などとの関係強化を図る一方、同盟国・友好国同士の関係強化を促す必要があるとして、とくに日韓両国の名前に言及した。
同戦略では、米国は同盟国・…
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【解説】今回のインド太平洋戦略文書は、大枠で目新しい主張があるわけではありません。強いて言えば、中国に関する記述を抑え目にしています。2020年にはポンペオ国務長官は共産中国、共産党という表現を繰り返したように、米中対立のなかで問題の根源を中国の政