5回の骨折からメダリストに リュージュの恐怖、救った両親の言葉
北京=遠田寛生
マデライネ・エグレ(オーストリア)
ハンドルも、ブレーキも無いそりに仰向けに寝る。そして、壁に囲われたコースを滑り降りていく。最速133キロを記録したことがある。わずかな体の角度で減速するため、瞬時の判断が勝敗を左右する。
8日のリュージュ女子では0・3秒差で表彰台を逃したが、10日のチームリレーでは1番手として銀メダル獲得に貢献した。
2018年平昌五輪でもチームリレーで3位に貢献した。19歳178日でのメダル獲得は、オーストリアのリュージュ選手では史上最年少。帰国後は想像以上の反響を受け、うれしかった。
それでも満足はできない。「国内ではそこそこの人気競技だけど、女子個人では長い間勝てていないから期待されていない。見る目を変えたい」
きっかけは07年、地元で開催された世界選手権だった。自宅から15分程度の場所で開催され、「小学校のクラスで応援に行った。大会が終わったら、体験で滑らせてもらえた」という。
家の床で泣き崩れた時…
仲の良い友人が前のめりで、あくまで付き合い程度だった。それが今、自分だけが競技を続けている。人生の大切な要素を競技から学んできた。
たとえば14歳のときだ。大…