土俵下に転落、動けぬ力士…なぜ医師が来ない?相撲の安全どうすれば

有料記事

松本龍三郎 波戸健一 鈴木健輔
[PR]

 「俺たちは毎日、交通事故に遭っているようなもの」

 自虐的に、でも、どこか誇らしげに話す力士がいる。巨体同士がぶつかる衝撃はそれだけすさまじいという思いがこめられる。ただ、その衝撃によって力士のけがは絶えず、とりわけ近年は「命」にかかわる頭部や首の事故が目立つ。裸一貫で戦う彼らを守るには――。

 幕内の取組でざわめきが起きたのは、今年の大相撲初場所2日目の1月10日。人気力士の宇良(うら)(29)が負けた際、後ろ向きで土俵下に転落した。後頭部を床に打ち付け、動けなくなった。

 ようやく立ち上がった宇良は土俵にはいあがったが、脳振盪(のうしんとう)を起こしたようでふらついたまま。呼び出しに支えられながら一礼をして土俵を降りると、花道から車いすで引き揚げた。

 会場の東京・国技館では、宇良に対して温かい拍手がわいた。だが、ネット上には批判的なコメントも。

 「なぜ医師が駆けつけない?」「担架で運ぶとかそう言った処置はできなかったのでしょうか?」(原文のまま)。安全対策が不十分ではないか、という論調が目立った。

 力士のけがで、こうした議論になるのは最近、珍しくない。

 昨年初場所、幕下力士が互い…

この記事は有料記事です。残り1390文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(春トクキャンペーン中)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料
  • commentatorHeader
    野村周平
    (朝日新聞スポーツ部記者=スポーツ行政)
    2022年2月15日19時11分 投稿
    【視点】

     私が担当するラグビーでは例えば毎冬に大阪・花園ラグビー場で行われる全国高校大会の場合、1試合につき最大で4人のドクターが試合中のけがに備えています。脳振盪と思われる症状が起きたら、11の項目で選手の動作や言動をチェックします。脳振盪の疑い