第8回「酒は全部捨てろ」険しかった兄の顔 毎日開いたノートに書いた○

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浅野真
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 アルコール依存症になった私(55)は2017年秋、秋田から東京に戻ることになった。

 マンションでの荷造りには兄が手伝いに来てくれた。

 冷蔵庫には、アルコール度数が9%と高い「ストロング系」の缶酎ハイや、焼酎が入っていた。

 げた箱にもなぜか900ミリリットルの焼酎のパックが未開封のまま入っていた。

 記憶はなかったが、「アルコールが第一」の脳がそうさせたのだろうと思った。

 「持って帰る?」と兄に笑いながら聞いた。

 「オレの前で全部捨てろ」

 兄がいつになく険しく、厳しい表情で言った。言われたとおり、すべて台所のシンクに流した。

 秋田は酒どころだ。私も普通に飲めていたころは、日本酒とうまい酒肴(しゅこう)の取り合わせに幸せを感じたものだった。

 しかし、依存症に傾くにつれて、飲む酒が変わった。

 日本酒やワインといった醸造酒より、アルコール度数の高い蒸留酒、焼酎やウイスキーを好んだ。入院前の9月、最後に飲んだのは、ストロング酎ハイだった。

 アルコール依存症は、脳が飲酒をコントロールできなくなる病気です。医療につながってほしいという思いから記者が体験を振り返る連載の8回目です。

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 東京に戻って復職し、飲まない生活が本格的に始まった。

 依存症の治療のために入院し…

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