住宅難民の駆け込み寺 札幌で起業の42歳社長「彼らは過去の私」
賃貸物件になかなか入居できない「住宅難民」。その駆け込み寺となっている不動産賃貸会社が札幌市にある。頭を抱えた人たちがカウンター越しに語る事情とは。
家も、仕事も見つからない悪循環
午後4時過ぎ。国道沿いにある「めぐみ企画」の店舗に、白と黒のモノトーンのセーターを着た男性が訪れた。
「明日から住めるって看板にあったんですけど、本当ですか」。男性はそう言うとカウンターのいすに腰掛けて、家探しの苦労を語り始めた。
応対するのは社長の金城めぐみさん(42)。うなずきながらメモを取る。
男性は30代。関西が地元で母子家庭に育った。母親からお金をせびられることが嫌になって札幌にやってきた。
身を寄せた知人の家にも長くはいられない。貯金も残り7万円。ネックになるのが「求職中」であることだ。まだ収入がなく、不動産業者を何軒も回ったが、貸してもらえなかったという。
逆に、住所が定まらないと、採用もされにくい。家と仕事の両方が見つからない。悪循環に陥っていた。
男性は生活保護を利用した上で、めぐみ企画が借り上げる物件に入居することになった。「保育の仕事をしてみたいです」。席を立つと男性は笑顔になった。
「強制退去させられそう」20代男性からのメール
めぐみ企画の場合、自社物件への入居はさせず、相談と情報提供だけに終わるものもある。
この日あった電話相談もそうだった。
「2カ月分の家賃を滞納して…