猫はいつ日本にやってきた? その「出会い」を探りに記者が旅した

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太田匡彦
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 猫はいつ日本列島にやってきたのか――。従来は主として、平安時代遣唐使船に乗せられてやってきたのが、猫と日本人の「出会い」と考えられていました。でも近年の考古学的発見で、それより数百年以上も前に猫は日本列島に来ていたことがわかってきました。弥生時代の猫の骨が出土した長崎・壱岐のカラカミ遺跡などを訪ね、猫のルーツを探ってきました。

22日に「猫の日」オンラインイベント

日本に暮らす猫のいま、そして未来について考えようと22日午後7時から、保護猫カフェ「ねこかつ」代表の梅田達也さん、俳優の浅田美代子さんを招き、記者イベント「『猫の日』に考える 日本の猫たちのこと」を開きます。申し込みは募集ページ(https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11006812別ウインドウで開きます)から。ぜひ、ご参加ください。

 博多港を出るとまもなく、高速船は時速約80キロまで船速をあげた。左手に見えていた糸島半島を後にし、陽光を照り返してまぶしい海原に目が慣れてきたころ、壱岐の島影が見えてきた。1時間あまりの船旅で、島の東側に位置する芦辺港(長崎県壱岐市)におり立った。

 この島で、日本列島における猫の「はじまり」を大幅にさかのぼらせる発見があった。弥生時代の環濠(かんごう)集落として栄えた「カラカミ遺跡」で2012年までに出土した小型哺乳類の骨の中に、猫のものが含まれていたのだ。

 イエネコ、一般にいう猫は、北アフリカから中近東にかけて生息するリビアヤマネコが祖先。中東の「肥沃(ひよく)な三日月地帯」で約1万年前、穀物をネズミから守る動物として家畜化が始まったとされる。日本に入ってきた時期は従来、考古資料によれば早くとも古墳時代後期の6世紀末から7世紀初頭、主には文献記録に登場し始める平安時代と考えられてきた。だがカラカミ遺跡で見つかった猫の骨は、放射性炭素年代測定により紀元前2世紀ごろ、弥生時代のものと判明した。猫が日本にやってきた時期が、およそ800年もさかのぼることになったのだ。

 京都大学大学院博士課程に在籍中、奈良文化財研究所の故・松井章氏とともに骨の分析に携わった納屋内高史さん(動物考古学)はこう振り返る。「中世以前に確実にさかのぼる猫の骨の出土事例がなかったという、ある種の先入観から、カラカミから出た骨が猫のものとわかった当初は、後世のものの混入と考えていました。『しかし、もしかしたら』と考え年代測定をしたら、弥生時代のものだった。猫と日本人とのかかわりが始まったという意味でたいへん大きな発見であり、驚きました」

 芦辺港からレンタカーを走ら…

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    今井邦彦
    (朝日新聞記者=歴史、考古学)
    2022年2月16日18時42分 投稿
    【解説】

     筆者のネコ愛を感じる記事です。私も長崎・壱岐の一支国博物館を訪ねた際に、弥生時代のネコの骨が同島で出ていると知り、驚いてツイッターで紹介したことがあります(https://twitter.com/imaikuni/status/12656