トヨタ労組の春闘様変わり、18年機に「変質」 相場牽引役の姿なし
トヨタ自動車の労働組合の春闘が様変わりしている。今春闘でも賃上げ要求の形を大きく見直した。労組にとって現実的な見直しは、外からは「内向き志向」にも映る。春闘相場の牽引(けんいん)役というかつての姿はもはやない。何が起きているのか。
トヨタ労組は今春闘で、賃上げの形を大きく見直した。これまで「全組合員平均」とし金額を示して要求する方式をやめた。代わりに、「事技系主任」「技能系中堅」といった「職種」と「職位」ごとに12パターンの要求額を示した。
トヨタ労組は、組合員の立場に応じてきめ細かく示すことで、「一人ひとりが当事者意識を持ちやすくなる」と説明する。組合員からも、「わかりやすい要求のやり方だ」と歓迎の声があがる。
ベースアップについては、昨年に続き、要求したかどうかも含めて公表しなかった。ボーナスは満額回答だった昨年を上回る月給6.9カ月分を求めた。
「全組合員平均」は、新しい要求方式に見直しても、算出することはできる。それでも要求しない。ベアを含めて、トヨタの春闘が、「要求水準の目安」となることを避けたいからだという。
トヨタ労組の春闘は、全国の労組や経営者が参考にすることが多かった。かつて、春闘全体の機運を左右し、春闘相場の牽引役を担ってきた。
今回からは、全組合員平均の要求水準もベアの有無も、外からは分からない。過去の要求水準との比較もできなくなる。
「生きるか死ぬかの戦い」 ベア非開示の異例回答
こうしたトヨタ労組の近年の「変質」は、2018年春闘がきっかけだ。
このころ、自動車業界では…