外国人への日本語支援20年 犬山の団体に愛知県弁護士会が人権賞

山下寛久
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 日本で暮らす外国にルーツがある人向けに、学校での学習や日本語の習得を支援する団体が、愛知県犬山市にある。「シェイクハンズ」だ。前身団体が1999年に設立されて以来、国際交流や日本語支援の場をつくろうと挑戦を続ける。2021年度の愛知県弁護士会「人権賞」に選ばれた。

 「こんにちは」「はい、おかえり」。名鉄楽田(がくでん)駅前(犬山市若宮)にある市の施設で開かれた「にじいろ寺子屋」に、放課後の子どもたちが集まって宿題に取り組む。「漢字は書き順を守るとかっこいいよ」。ボランティアの先生が女子児童の手を取り、「耳」の字を一緒に書いた。「できたよ」。花丸を書いてもらい、女子児童は笑顔を見せた。

 3年ほど前、中国から来日した小学5年の劉君沢さん(11)は寺子屋で学び、日本語能力検定の3級に合格した。最初は日本語がしゃべれず孤独を感じていたが、今では友達もできた。中学卒業までに1級に合格するのが目標だという。「言葉が難しくて学校ではなかなか友達がつくれない。ここで仲良くなれる子がいてよかった」

 シェイクハンズの活動は外国人住民が多い団地で開いた日本語教室から始まった。代表理事の松本里美さん(67)は当時、フェアトレード商品を扱う店を開いていた。常連客だったペルー人の男性が活動を始めるきっかけになったという。

 ある日、松本さんが男性の住む団地を訪ねると、ごみ集積場に「規則を守れ!」と貼り紙がしてあった。外国人住民は日本語で書かれたルールが理解できず、ごみをためたり収集されない日に出したり。備品を壊してしまうこともあり、日本人住民との間にあつれきが広がっていた。

 若いころからホームステイの受け入れや外国語サークルなどで外国語に触れる機会があった。「言葉で楽しむ」をモットーとしてきた松本さんは「言葉が分からないのは、こんなに苦しいことなんだ」と気づいた。渋る住民を説得し、団地の集会所を借りて日本語教室を始めた。

 以来、学校の宿題や就学前の日本語教育、親への子育て教室など、困っている人を見つけるたびに活動の幅を広げた。08年のリーマン・ショック派遣切りにあった外国人労働者の再就職支援もした。今は時間や場所を変え、毎日寺子屋や日本語教室を開催。外国籍の子どもら約60人が通う。

 住民が集まり思い思いの野菜を育てられるよう、20年度に犬山市内の耕作放棄地で畑を始め、現在は約2650平方メートルを使っている。キャッサバやケールなど外国野菜のお裾分けや畑の情報交換など交流が広がる。ヤギを飼い、昨年初めて朝市を開いた。松本さんは「水がしみていくような自然な形で、町に溶け込んでいってほしい。そんな場になれたら」と話す。(山下寛久)