大貫妙子、「ハチャメチャ」な山下達郎が隣にいた頃 今は自然の中で

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定塚遼
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 アフリカの大自然の中で、大貫妙子はポリスの音楽をかけた。ん?なんか違うな。次はジェームス・テイラー。まあまあかな。自分の音楽は……、全然合わない。車の下で寝ていたライオンにも聴かせたが、びくともしない。「都会とか、狭い経済圏でだけ通用する音楽じゃだめ。アフリカの自然の中で聴いたときに違和感のない音を作らないと」

 歌うことがコンプレックスだった。隣に山下達郎がいたから、と朗らかにちょっと責任を押しつけてみせる。1970年代初頭にバンド「シュガー・ベイブ」を組んだ。「山下くんはもうハチャメチャよ。あの声を出されると、もう私なんか……。声の大きさは私の5倍ぐらいはあった。出だしからいつも圧倒された」

 ソロになった後は、くっきりと方向性が分かれた。「山下くんは、一つのことをずっとやり続けてきた。毎年(代表曲の)「ライド・オン・タイム」をやって、何十年も同じスタイルで。上から見ていると、お客さんの髪の毛もだんだん薄くなってきて。でもそうやってお客さんと一緒に育ってきて、お客さんもそれを楽しみにしている。新しい曲を出すにしても、お客さんが『それそれ』と思う曲を作る。それはそれで一つの音楽のあり方だと思う」と語る。

 だが、大貫は自身について山下とは「全く違うジャンル」と言う。「ファンっていうのは変わって欲しくないわけじゃない。ずっとそのままでいてほしい。でも私はもうそんなの飽きちゃった。嫌だから」

40歳、突如として上がった幕

 山下も大貫にこう語ったとい…

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