「第四の男」5年ぶり番勝負へ 囲碁十段戦関西決戦、余が快勝
大出公二
「第四の男」が、5年ぶりに番勝負の舞台に戻ってくる。第60期囲碁十段戦(産経新聞社主催)で、余正麒八段が許家元十段への挑戦権を獲得した。ポスト井山の最右翼として許ら「令和三羽ガラス」が脚光を浴びるなか、先輩格の余の巻き返しが急だ。他棋戦も含め「令和四天王」と並称されてもおかしくない暴れっぷりを見せている。
十段戦挑戦者決定トーナメントには20人が出場し、決勝には余と同い年の26歳、同じ関西棋院所属の佐田篤史七段が勝ち上がってきた。昨年の関西棋院の勝ち星ランキングは佐田が43勝で1位、余は星一つ差の42勝で2位。ツートップが日本棋院の精鋭を次々に倒して大一番で相対した。
決勝は1月27日、関西棋院で打たれた。均衡が崩れたのは、中盤の100手過ぎからだった。
余が図の黒1、3と得意のコウ争いを仕掛けた。白4とコウを取り返した直後の黒5が絶好のコウダテ。右辺の白の一団を封鎖して、同時に右上に浮遊する黒の一団が右下の黒の一団と連絡した。白は放置すると黒6から危地に陥るため、白6がやむを得ない。黒は一石何鳥もの効果をもたらす黒5の一手を、コウダテという最高のタイミングで放った。
さかのぼって佐田は、白2で…