第3回原発事故、親ロ派占拠、そしてまた… 避難続く人生「何が真実なの」

有料会員記事ウクライナ情勢

キエフ=金成隆一
[PR]

 アンナ・ジュルディツカヤ(39)はウクライナの首都キエフで、夫アンドレイ(36)、娘ミラ(3)と暮らしている。

【連載】「ウクライナ危機 市民は今」の初回はこちらから

ロシア軍が国境に集結し、ウクライナを巡る緊張が高まっています。市民たちは、どんな思いで成り行きを見守っているのでしょうか。記者が現地に入りました。

 国境の向こうにいるロシア軍については、なるべく考えたくない。それでも毎日、何らかのニュースが耳に入ってくる。心がざわつく。

 21世紀の欧州に生きながらも、アンナの人生は退避の連続だった。

 1度目は幼少期、1986年のチェルノブイリ事故。

 2度目は2014年のウクライナ危機。当時暮らしていた東部ドネツク州が親ロシア派の武装勢力に部分占拠され、キエフに逃れた。

 そして今が3度目だ。苦労して生活を立ち上げ直したキエフからも退避しないといけないかもしれない――。そんな懸念を深めている。

1度目の記憶は、ほとんどない

 アンナに1度目の退避の記憶はほとんどない。1982年、チェルノブイリ原発の従業員たちが暮らす街プリピャチに生まれた。父は原発で働く技術者だった。

 アンナが3歳だった時の原発事故で一帯が放射性物質で汚染され、一家は街を離れた。なるべく遠くへ――。両親が退避先に選んだのが、南東に800キロほど離れた、親族も暮らす東部ドネツク州だった。アンナにとっての幼少期の記憶とは、大半がここドネツク州でのものだ。

 ここで高校を卒業し、アンドレイと出会い、結婚した。

 平穏で幸せな暮らしが、再び揺らいだのが2014年だった。

 親ロシアのヤヌコビッチ大統…

この記事は有料会員記事です。残り2354文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら

連載ウクライナ危機 市民は今(全120回)

この連載の一覧を見る