部下らの引き抜き「背信的」、コンサル大手元役員に5千万円賠償命令

村上友里
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 転職先の競合他社に元の職場の部下を引き抜いた元役員に対し、コンサルティング業界大手「デロイトトーマツコンサルティング」(東京都)が約1億1500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が16日、東京地裁であった。沢村智子裁判長は「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き」と認め、元役員に約5千万円の支払いを命じた。

 判決によると、被告の元役員の男性は2018年、原告のデ社を退社し別のコンサル会社に入社。19年には元役員の部下ら4人も、元役員と同じ会社に転職した。

東京地裁判決「秘密裏に極めて強い働きかけ」と認定

 元役員側は裁判で、コンサル業界は「人材の流動性が高い」とし、部下が追随して移籍することはよくあると指摘。元役員が退職した時点でデ社には約100人の役員と約2600人の社員が働いており、「社員4人の転職が与える影響は極めて小さい」と反論していた。

 判決は、転職した元役員が①プライベートのメールを使うなどして複数の社員を秘密裏に勧誘した②その働きかけは転職後の給与額や配属先を確約するなど極めて強かった――と認定。

 さらに、デ社での勤務に不安を抱かせるため、デ社を批判する記事をネットに掲載することに元役員が協力したとも認めた。

被告の元役員側「全面的に不服」

 そのうえで判決は、元役員の引き抜きは「単なる勧誘でなく、人材を流出させてデ社の事業に悪影響を及ぼすために行われた」と認定。デ社の引き抜き禁止規定や役員としての義務に反すると判断した。

 元役員側は判決について「全面的に不服だ」として控訴する方針。デ社は「悪質な引き抜きについて司法の正当な判断が下された」とコメントした。(村上友里)