平野歩夢は超人か鳥人か スノボ誌編集長が語る「ビッタビタ」五輪

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小瀬康太郎
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 日本勢が活躍した北京五輪スノーボード。昨夏の東京五輪で話題になったスケートボードのように、各国の選手たちが互いの技をたたえあう姿も再び見ることができました。

 この二つのスポーツのルーツは、実は同じサーフィン。いずれも「横乗り系」と呼ばれ、「自由」や「個性」を重んじるカルチャーが根底にあります。

 20年近く業界を取材するスノーボード専門誌編集長の野上大介さん(47)は、「五輪を通じて『横乗り』文化の魅力を日本に浸透させたい」と話します。男子ハーフパイプ(HP)で金メダルを獲得し、10年以上交流のある平野歩夢(あゆむ)選手の取材秘話も語ってくれました。

東京五輪のスケボー、ほうふつとさせる場面も

 ――今大会を振り返って

 スノーボードは1998年の長野五輪で種目に採用され、今回で7回目の五輪です。

 男子1人、女子2人の計3人の選手がメダルを取りました。技が成功すればメダルを狙えた選手はほかに何人もいて、日本のスノーボーダーのレベルがすごく高まっていると感じます。

 ただ、スノボの世界では、メダルが全てではありません。例えば、男子HPで9位だった平野歩夢選手の弟の海祝(かいしゅう)選手は、7メートル以上も飛び出す滑りを見せました。あの滑りこそ、格好良さを大事にする「ザ・スノーボーディング」と言えます。本場アメリカはもちろん、世界のスノーボード関係者たちが絶賛していました。

 今大会では、「横乗り」スポーツの良い文化を多く見ることができました。

 女子ビッグエア決勝で、岩渕麗楽(れいら)選手が世界初の大技に挑み、惜しくも転倒しました。でもその直後、各国の選手たちが駆け寄って彼女の挑戦をたたえたんです。東京五輪のスケートボード女子で見た光景をほうふつとさせる場面でした。

10年以上平野歩夢選手を見てきた野上さんは、彼を「ぶれない人間」と評します。一方、「怒りを表現できた」発言には驚いたそうです。なぜでしょうか。記事後半では、スノボのルーツについても語ってくれました。

印象に残った鋭いまなざし

 ――平野歩夢選手との交流が長いそうですね

 最初に対面したのは、彼が12歳のときです。

 別の取材で訪れていた米国カ…

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