東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議が17日開かれた。都内の新規感染者数(1週間平均)が16日時点で前週の82%となり、1月以降、初めて減少に転じたことが報告された。ただ、依然として連日1万人を超える新規感染者が確認され、専門家は「大規模な感染拡大が続いている」と分析した。一方、重症者用病床使用率は上昇傾向にあり、通常医療への影響が長引くことへの懸念が示された。
会議で報告された16日時点の1週間平均の新規感染者数は1万4564人。医療機関が3連休中に休診し、検査数が減り、発生届の遅延も影響した可能性はあるものの、前週9日時点の1万7686人から3122人減少していた。国立国際医療研究センターの大曲貴夫氏は、小中学校の学級閉鎖や保育園、幼稚園の休園により欠勤せざるを得ない保護者らが増えて、社会機能の低下が危惧されると指摘。大曲氏は3回目のワクチン接種はオミクロン株にも効果が期待できるとし、ワクチンを確保し、希望する都民への接種を推進する必要があるとコメントした。
一方、都医師会の猪口正孝副会長は医療提供体制について、入院患者における重症者の割合が高まり、会議では「通常医療を含めて逼迫(ひっぱく)している」と現状を分析した。
重症者用病床使用率は31・5%
16日時点の入院患者数は4154人(前週4111人)、病床全体の使用率は57・8%(前週57・2%)とほぼ横ばいで推移。一方、都が30~40%で緊急事態宣言の要請を判断する指標としている重症者用病床使用率は31・5%(前週23・3%)、入院患者のうち酸素投与が必要な患者の割合も25・8%(同14・4%)といずれも上昇した。
「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使用」とする都基準の重症者数も前週の59人から22人増え81人に増加していた。猪口氏は会議後の会見で「コロナ病床の重症化が始まっている」と指摘。重症者数の増加は、感染者の増加から遅れて生じる傾向があることに触れ、「医療提供体制にかなり厳しく押し寄せている」と懸念を示した。
また、都内では1月は26人だった死者の発表が2月に入って16日までに153人と、死者数が急増している。
死者の増加について大曲氏は、医師らから集めた死亡例の分析として酸素投入が必要な患者が多数を占めているが、人工呼吸器が必要な患者は少ないと説明。例年、インフルエンザの季節では、心臓や腎臓が原因で亡くなる高齢者が多いとしたうえで、「コロナの肺炎で重症になった第5波とは違って、コロナの肺炎としてはそれほどひどくないかもしれないけれども、年齢の高い方にとって、インフルやコロナにかかることは、とても体に負担のかかることで、それが原因で、元々持病があると、そこがさらに悪くなって結果的にお亡くなりになっている状況」と説明した。
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