ワリエワ、本来の演技に遠い「4位」 ぼうぜんの表情で数分間動けず

岩佐友
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(17日、フィギュアスケート女子フリー)

 会場の首都体育館に最終滑走者を迎える高揚感はない。重い空気を打ち破るように、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の関係者やロシア人記者が手拍子を送る。カミラ・ワリエワの演技が始まった。

 フリー「ボレロ」。二つ目のジャンプ、トリプルアクセル(3回転半)の着氷が乱れた。続く連続ジャンプで転倒。後半の4回転トーループも転倒した。七つのジャンプ要素のうち減点がなかったのは二つだけ。スピン、ステップも音に合わない。本来の演技にはほど遠かった。演技が終わり、右手を振った後、両手で顔を覆った。エテリ・トゥトベリゼ・コーチに肩を抱かれながら、「4位」を知った。フリーの自己ベストより40点以上低い。ぼうぜんとしたまま数分間動けず、涙がこぼれ出た。

 ロシアのカザン出身。幼少期に体操やバレエとともに経験したフィギュアスケートにのめり込んだ。母とともにモスクワに転居し、世界選手権を2度制したエフゲニア・メドベージェワ平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワらを育てたトゥトベリゼ氏に2018年から師事。20年の世界ジュニア選手権を制した。

 シニアデビューの今季はグランプリ(GP)シリーズで2戦2勝。世界最高得点を記録した。圧倒的な優勝候補として迎えた五輪は、ヒロインとして脚光を浴びるはずだった。

 しかし、ドーピング問題で状況は一転。世界中から疑惑の目を向けられた。

 SPでは首位に立った15歳もフリーまで心が持たなかった。取材エリアはこの日も無言で通過。メダルに届かない不本意な「4位」さえ、暫定の扱いになる。(岩佐友)

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