俳優、歌手、実業家としても活躍する柴咲コウが、初めて「監督」に挑戦した。18日公開の短編オムニバス映画「MIRRORLIAR FILMS Season2」の一編「巫.KANNAGI」で、社会から孤立していく母子の貧困を描いた。「物語を紡ぐということは、事実を投入しながら考えるきっかけになる」「(映画は)こうあるべき、みたいなのが世の中にも自分の中にもあった。でもそういう殻はいらない」と話す柴咲監督に、初監督作に込めた思いを聞いた。
「MIRRORLIAR FILMS」は、「だれでも映画を撮れる時代の幕が開く」というコンセプトのもとに映画プロデューサーの伊藤主税や俳優の山田孝之らが立ち上げた短編映画制作プロジェクト。第2弾となる今作は、俳優やクリエーターなど9人の監督がそれぞれ約15分の映像を手がけた。柴咲が描くのは貧困と孤立をテーマにした物語。父親を亡くした少女(矢部俐帆)は、母親(しゅはまはるみ)とつつましくも幸せに暮らしていた。ある日、不思議な女性(柴咲)が現れて……。
いいチャレンジができた
――初監督作品になりますが、話がきたときはすぐにやってみようと思ったのでしょうか
山田君から「やってみませんか」みたいな感じで誘われて。20年以上俳優業をやっていて、(監督を)やりたいなってずっと思ってて。実は現場で、監督やプロデューサーに「どうやったら映画が撮れるんですか」って相談してたこともあったんです。2、3年前ぐらいから。
「いいプロデューサーを見つけることだよ」とアドバイスをもらい、でもそんな人とどうやって出会うのかな、と。プロデューサーさんとお会いはしてるけど、そこまでガッツリ語り明かす、みたいな人はいないから、まず関係を構築するところから始めなきゃいけないのか、と思ってたら、こういう風にお話をいただけて。
――監督をやりたいと思っていたのは、なぜですか
ミュージックビデオを作るときに、絵心はないんだけど自分で絵コンテを書いたりして、説明する前に自分で頭の中を整理したりしてたんです。ここまで理想があるんだったら、誰かにお願いして自分の理想と違うってなるよりも、まず理想を自分が表現してみることをやったらいいのにな、と思いつつ、そういう機会を逃してきた感じだった。すごくいいチャレンジができたなって思います。
――ここ2、3年ということですが、コロナ禍なども影響しているのでしょうか
物事って一つが何かを決定付けるわけじゃなくて、色々絡み合って、それが人生になっていくんだと思うんです。私の場合も、自分自身の年齢だったりとか経験だったりとか、あと元々の性格とか。いろいろなことをやってみたい性格なので。ちょうどまたそういうターンにきたっていうのと、やっぱり40歳という節目と。
あと会社を2016年に作っ…