五輪か、ワクチン接種か。優先順位はそれぞれだった。
スノーボード女子パラレル大回転で14位に終わったスイスの34歳、パトリツィア・クンマーが北京に入ったのは、レース日よりも1カ月近く早い1月13日だった。
今大会、新型コロナウイルスのワクチン未接種者は、医学的な理由を除けば選手であっても21日間の隔離が求められた。
トップアスリートにとって、試合直前の3週間がどれほど大切か。事実上、接種はほぼ義務づけられているとも言えた。実際、今大会に向けてワクチンを打ったという選手は少なくない。ただ、クンマーは「個人的な理由」で打っていない。
「自分にとって何がベストなのか、分かっています。21日間の隔離が私にとってのベスト。他人がどう思おうと関係ありません」。隔離生活の部屋は、約25平方メートル。体を動かすためのインドアバイクがあるとはいえ、影響が皆無とは言い難い。
2014年ソチ五輪の金メダ…