地域安全とにぎわい考える三鉄研修のすすめ 応援する会、沿岸に冊子

伊藤智章
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 岩手県沿岸を走る三陸鉄道を盛り上げようと活動する市民団体「三陸鉄道を勝手に応援する会」(会員約100人)が、にぎわいやなりわいづくりなど地域の創生に三鉄の活用を訴える冊子を作製し、沿岸自治体と住田町の計13市町村の役所職員3千人に配った。タイトルは「岩手三陸、沿線市町村と共に 次の10年へ」。避難行動の啓発や復興のあり方も改めて問いつつ、三鉄の活用を説く。

 A5判で全135ページ。巻頭に、岩手大の斎藤徳美名誉教授の防災論を置いた。昭和三陸津波以降、考えうる対策はやり尽くしてきたはずなのに、東日本大震災では県内で6千人を超す犠牲者を出し、「忸怩(じくじ)たる思い」だといい、防潮堤に頼らず、遺構を保全し、避難の大切さを説く。

 「辛口」の斎藤名誉教授らしく、復興シンボルとしての三鉄の活用を提言しながら、三鉄復旧を喜ぶ住民や地元自治体の職員のうち、いったい何人が三鉄に乗車しているか「心もとない限りである」とも。

 このほか、県や沿岸市の職員、スーパー経営者、絵本作家ら多彩な顔ぶれが三鉄への熱い思いをつづった。復旧の経緯のほか、企画列車の種類、貸し切り列車の申し込み方法、金額など具体的な活用のノウハウなども載せている。

 2月に冊子を使い、市町村職員の講習会貸し切り列車を企画していたが、コロナ禍で延期中。中村一郎社長や斎藤名誉教授が講師になり、実際に乗車しながら自治体職員らから活用のアイデアも募る予定だった。

 冊子はサントリーホールディングスの支援と、カンパで135万円を集め、5千部を作製した。応援する会の草野悟会長(71)は「交通担当以外の職員にも研修や会合で利用してもらいたい。三鉄が間に入れば、近隣市町村と一緒の観光PRもやりやすいはず」と期待する。一般からの問い合わせもあり、さらにカンパを募り、ダイジェスト版を作ったり、6月以降に一般参加の研修列車を走らせたりする予定だ。(伊藤智章)