沖縄・石垣市長選告示 陸自配備容認の現職、賛否問う新顔の一騎打ち

光墨祥吾
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 沖縄県石垣市長選が20日告示され、2氏が立候補を届け出た。陸上自衛隊の配備計画が進む中、岸田文雄政権が推す配備容認の現職と、配備についての住民投票の実施を訴え、玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力が支持する新顔の一騎打ち。駐屯地着工後初めての市長選で、結果は陸自配備や秋の知事選に影響する可能性がある。

 投開票は27日。選挙人登録者数は3万9330人(19日時点)。

 立候補したのはいずれも無所属で、オール沖縄などが支える新顔の前市議・砥板(といた)芳行氏(52)と、自民、公明が推薦し、4選を目指す現職の中山義隆氏(54)。

 石垣島への陸自配備計画は、中山氏が2018年7月に正式に容認を表明した。一方、市民グループが19年2月に有権者の約4割にあたる約1万4千筆の署名を集めて計画の是非を問う投票条例制定を直接請求したが、市議会が否決。同年6月にも議員提案による条例案が否決された。

 砥板氏は、住民投票の実施を訴え、結果を尊重するとの公約を掲げる。告示後の出発式では、「独善的な市政を終わらせるか、市民のための市政を作るのかが問われている選挙だ」と支持を呼びかけた。

 中山氏は「国防は国の専権事項」との立場。陸自配備や住民投票には公約で触れておらず、この日の街頭演説でも「観光客を呼び戻し、島の経済を動かす」などと新型コロナ対策を中心に訴えた。

 政府は南西諸島の防衛力強化のためとして石垣島に陸自の3部隊(計500~600人)を配備する計画を進め、駐屯地は19年2月に着工した。

 だが、市民の間では今も意見が分かれる。

 住民投票を求める署名活動に関わった宮良(みやら)麻奈美さん(29)は、「安全保障が大切なら、なぜ住民に計画の丁寧な説明がないのか。地元はまるで空気のよう。軽視されている」と、市民の賛否を問わないまま駐屯地の工事が進むことに戸惑う。

 マンゴー農家の新城純さん(80)は、観光客数を増やした中山市政の実績を評価し、新型コロナで冷え込んだ経済の回復を期待する。一方、陸自配備は「国策」との考えで、「国が決めることで、住民投票にどれだけ効果があるのか疑問だ」と話した。(光墨祥吾)