つげ義春さん「自分なんかでよいのだろうか」 芸術院会員選出に驚き

黒田健朗
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 日本芸術院の新会員候補に、「ねじ式」「無能の人」などで知られる漫画家のつげ義春さん(84)が決まった。3月1日付で文部科学相が発令する。新設分野の「マンガ」で選ばれたつげさんは「非常に名誉に感じています。マンガ界に何かよい影響があれば」などと朝日新聞にコメントを寄せた。

 つげさんは1937年、東京都生まれ。小学校卒業後、めっき工場での勤務などを経て、1954年にデビューした。雑誌「月刊漫画ガロ」などで活躍し、「沼」「チーコ」「李さん一家」「紅(あか)い花」「ねじ式」「ゲンセンカン主人」「無能の人」など幻想性、叙情性のある作品や私小説的な作品を発表。独特の作風で人気を博した。故・水木しげるさんのアシスタントを務めていたこともある。

 87年の「別離」を最後に断筆。2017年に日本漫画家協会賞大賞、20年に仏・アングレーム国際漫画祭特別栄誉賞を受賞した。

 文化庁の発表資料では推薦理由について、「人間存在の不条理や世界からの疎外を垣間見せる『文学的な』表現によって、自己表現としてマンガを捉える青年たちに絶大な影響を与えた」「美術と文学の世界からも高い評価を集め、その作品を読み解く試みを誘発してマンガ評論の発展にも影響を及ぼした」などとしたうえで、「まさに『芸術』としてのマンガ表現において日本を代表する作家」としている。

 会員は非常勤の国家公務員で年250万円の年金が支給される。任期は終身。新設された「マンガ」分野では、「あしたのジョー」「おれは鉄兵」などで知られるちばてつやさん(83)も選ばれた。

 つげさんのコメントは次の通り。

つげ義春さん「マンガ界によい影響があれば」

 突然選出を知り、驚きました。選ばれるとは思っていませんでした。日本芸術院に関する知識もなく、自分なんかでよいのだろうかとも思いましたが、選んで頂いたこともあり、ありがたくお受けしました。マンガの分科が新設され、その初代の会員ということも、非常に名誉に感じています。今後の具体的なことについてはまだよくわかりませんが、マンガ界に何かよい影響があればいいなと思います。(黒田健朗)