東京電力福島第一原発から出た処理水について、安全性を強調した国のチラシが宮城県内の教育現場に配られ、波紋が広がっている。来春予定の処理水の海洋放出を巡っては地元に根強い反発がある中、配布を取りやめたところも。「安全性を一方的に押しつけている」との批判がある。
チラシは小学生向けの「復興のあと押しはまず知ることから」(経済産業省資源エネルギー庁)と、中高生向けの「ALPS(アルプス)処理水について知ってほしい3つのこと」(復興庁)の2種類。文部科学省が作成した放射線の副読本に同封する形で、昨年12月に各校に直接送られた。小中高を対象に全国で約230万枚が配布された。
小学生向けのチラシでは、処理水について「人間が食べたり、飲んだりしても健康に問題のない安全な状態」と紹介。中高生向けでは、処理水に含まれる放射性物質のトリチウムについて「健康への影響は心配ありません」「世界でも既に海に流しています」などとした。
復興庁の担当者は「風評被害が広がらないよう、科学的な説明をするための補足資料として送付した」と話す。
国は昨年4月、同原発事故で…