救急搬送「46病院に断られた」 コロナ拡大、大阪の医師が見た現実

新型コロナウイルス

浅沼愛
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 新型コロナウイルスの第6波で急速な感染拡大に見舞われ、病床の逼迫(ひっぱく)が続く大阪市。今月5日、かかりつけの患者の救急搬送に立ち会った医師は、受け入れ先が全く決まらない状況を目の当たりにした。医師も同乗した救急車で救急救命士は電話をかけ続け、「46病院に断られた」という。

 大阪市平野区の「なかのクリニック」の中野明弘医師(63)は今月5日午後9時ごろ、かかりつけの男性患者(63)から、「息が苦しい」と連絡を受けた。男性は気胸で2度の手術歴がある。90%を下回ると呼吸不全の可能性があり対応が必要とされる血中酸素飽和度は、88%まで低下していた。新型コロナの感染の有無はこの時点では分からなかったが、中野医師はすぐに救急車を呼び、男性の自宅へ駆けつけた。

 搬送先の病院の医師に男性の症状を説明するため、中野医師も救急車に同乗した。救急救命士が2次救急病院に電話をかけ続けたが、「すでに満床」「対応中で無理」「手いっぱいだ」という断りの回答ばかり。X線やCTなど、「せめて検査だけでも」という希望も受け入れられなかった。

 最初に連絡を受けてから4時間が経った午前1時ごろ。中野医師の提案で3次救急病院に初めて連絡したところ、「2時間待ってもらえたら受ける」と返答があり、男性は午前3時にようやく診察を受けることができた。中野医師が「全部でいくつの病院に断られたの?」と尋ねると、救急救命士は「46病院です」と答えたという。男性はその後、病院で新型コロナの陽性が判明し、3日間入院。症状が改善した後は別の病院に移った。

 総務省消防庁のまとめでは、新型コロナの感染拡大の影響で救急搬送先がすぐ決まらない「救急搬送困難事案」は、大阪市消防局で今月13日までの1週間に588件で、昨年の同じ時期の2・6倍。男性の搬送先が決まらなかった日を含む、今月6日までの1週間も552件に達した。大阪市消防局は朝日新聞の取材に「断られた病院の数は数えていない」と回答した。

 中野医師は「病床が逼迫していると聞いてはいたが、これが大阪の今の医療態勢なのかと驚いた。救急車1台が患者さん1人を運ぶ病院すらないなんて」と振り返った。(浅沼愛)

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